『美味礼賛』という「美食家(ガストロノミー)」として名高いブリア・サヴァランは、フランスのリヨン近郊のベレー(belly)という町で生まれ、さらにリヨンで法律などを学ぶ傍ら、美食の都市としてのリヨンに触れて食に対する見識を培ったとも、、、。
今回は「美食の都・リヨン」において、美食を彩っている近郊から集まる3つの名物をメインに紹介していきます。
■リヨン■
リヨンは、フランスの南東部にある都市です。
北からソーヌ河が、東からはローヌ河が流れてきて、その二つの河が合流した場所に存在し、二つの河は南に流れていくと地中海に出てマルセイユやツゥーロンの方にでます。
東からのローヌ河を辿って東に行くと、サヴァランの生まれたベレーを通り(ブルジュ湖が近い)、さらにジュネーブのレマン湖まで辿り着きます。
レマン湖は淡水魚が有名で、このローヌ河を辿ってその魚がリヨンまで運ばれてきていたようです(そのためサヴァランのベレーもそこそこ美食の町)。
また北西部にはブルゴーニュがあり、ブルゴーニュワインも入ってきて、ブルゴーニュ・ワインの一つであるボジョレーワインもリヨンの大量消費から端をなすようです。
北東部には、ブレス地方があり「ブレス鶏」が、さらにその手前にドンブ地方においては「エクルヴィス」などの川魚などが有名。
■①ブレス鶏■
リヨンの北東にあるブルカンブレスという近郊一帯の低い丘陵地帯がブレス地方と言います。そこの原産地呼称(アペラシオン・ドリジーヌ)の鶏肉が「ブレス鶏」(ホワイトチキン)となります。
【評価】サヴァランが「家畜の女王であり、王の家畜である」など評したことが有名で、1936年に地域保護を受け、1952年にはAOCになります。
【味】ただ焼いただけでじわっとした味わいがしみ出てくるようです(※1)。
【育て方】
ネットが農家の庭に張ってあり、そこで放し飼いをされているようです。
その真ん中に小屋があって、その床あたりが開いて餌(トウモロコシ)が流れ出し、一定量食べたら餌をやらなくして、すると鶏が庭の土の虫をついばむために勝手気儘にその辺りを走り回り、体力をつけさせる方法をとっているようです。
大体4か月くらい行い、狭い籠の中に入れて一週間肥育するようです(※1)。
■②エクルヴィス■
エクルヴィスとはフランス語でのザリガニを意味するようですが、リヨンにおいて食べられることは有名で、リヨンの郷土料理にもエクルヴィスから出汁を取ったソースが使われるようです。
リヨンからブレス地方までの間が沼や小さな流れが多く、ドンブ地方と呼ばれ、エクルヴィスや川魚が有名(※1)。
■③シャロレー牛■
フランスにおけるホルスタインに次ぐ二番目に多く育てられている牛肉のようです。またリムーザン牛に次いで二番目にフランスで一般的な牛肉のようです。
発育の良い事と赤肉量の多いことから、イギリス、アメリカ、オーストラリアなどで重用され、純粋種としてのみでなく、他の肉用種や乳用種とのF1作出にも多用されるようです。毛色はクリーム色単色で、額に縮れ毛があるのが特徴のようです。
有角で大型、元々は役用として発し、次いで役肉兼用とされ、後に肉専用種として改良されたようです。ただ肉専用として本格的に始まるのは1950円代のようです。
※1…『ブリア・サヴァラン「美味礼讃」を読む』辻静雄
※2…blog.braise.info